特定技能「自動車運送業」とは
自動車運送業は、2024年3月29日の閣議決定により、特定技能の対象分野に新たに追加された4分野のひとつです。物流の「2024年問題」や、タクシー・バスドライバーの高齢化・人手不足を背景に新設されました。受入れ見込数は、令和10年度末までで22,100人です(2026年1月23日閣議決定で再設定)。(出典:出入国在留管理庁「令和6年3月29日の閣議決定等に関する情報」/分野別運用方針の主要な記載事項(出入国在留管理庁))
トラック・タクシー・バスの3区分
自動車運送業分野は、トラック・タクシー・バスの3つの業務区分に分かれており、区分ごとに必要な運転免許や日本語能力が異なります。
- トラック区分:貨物自動車運送事業における運転業務。第一種運転免許が必要
- タクシー区分:旅客自動車運送事業(タクシー)における運転業務。第二種運転免許が必要
- バス区分:旅客自動車運送事業(バス)における運転業務。第二種運転免許が必要
タクシー・バスは乗客との直接のコミュニケーションが必要なため、より高い日本語能力が求められます。
トラック区分と関わりの深い輸送・物流の分野としては、令和8年1月に新設された特定技能「物流倉庫」もあります。物流倉庫分野は、2026年9月18日に要領別冊が制定されるなど、受入れに向けた準備が進んでいる段階です。倉庫内作業の人材確保もあわせて検討されている場合は、今後の試験開始の動向とあわせてご確認ください。
必要な試験・日本語要件
自動車運送業分野の特定技能を取得するには、技能試験・日本語試験への合格が必要です。日本語能力の水準は「日本語教育の参照枠」で規定されており、区分によって求められるレベルが異なります。
- 技能試験:一般財団法人日本海事協会が実施。トラックは運行業務・荷役業務等、バス・タクシーは運行業務・接遇業務等が試験範囲
- トラック区分:参照枠のA2.2相当以上(証明に使える試験:JFT-Basic A2.2相当以上、または日本語能力試験N4以上)
- タクシー・バス区分:参照枠のB1相当以上(証明に使える試験:日本語能力試験N3以上など。B1相当以上の確認は令和9年4月1日以降の申請から)。ただしA2.2相当の場合も、B1相当以上の日本語能力の修得に向けた日本語学習プランを作成し、かつ「乗客、関係機関等との意思疎通を補助する要員として同乗させること」(補助する要員は自社に雇用されている者)を条件に認められます
- バス区分の特例:離島・半島地域の乗合バス等(貸切バスを除く)に限り、日本語学習プランの作成に加え、地方公共団体との協力や、情報通信技術を活用した緊急時の連絡体制の整備などの措置を講じる場合は、補助する要員を同乗させずにA2.2相当で乗務することが認められています
(出典:自動車運送業分野の運用方針(別紙10)/自動車運送業分野の運用要領(令和8年10月9日一部改正)/出入国在留管理庁「日本語能力水準「B1相当以上」の確認開始時期について」/国土交通省「特定技能(自動車運送業分野)Q&A」)
国土交通省の特定技能協議会資料によると、技能試験の合格率は、2026年1月末時点の累計でおおむね7割台です。区分別ではトラック・タクシーが7割強、バスが8割台、国内実施分は7割台半ばです。令和7年度の試験実施状況報告書(令和8年10月7日)では、トラック71.3%、タクシー75.3%、バス84.9%とされています。(出典:第2回自動車運送業分野特定技能協議会 資料2(国土交通省)/令和7年度自動車運送業分野特定技能評価試験実施状況報告書(国土交通省))
来日から就労開始までの流れ
自動車運送業分野は、来日後すぐに運転業務に就けるわけではありません。特定活動の在留期間中(トラックドライバーは最長6か月、バス・タクシードライバーは最長1年間)に、外国免許からの切替(外免切替)等によって日本の運転免許を取得する必要があります。タクシー・バスの区分では、新任運転者研修の修了も求められます。(出典:国土交通省「特定技能(自動車運送業分野)Q&A」/自動車運送業分野の運用方針(別紙10))
採用が決まってから実際に就労を開始するまで、半年〜1年程度のリードタイムを見込んでおく必要があります。
技能実習からの移行
技能実習2号を良好に修了した人材は、修了した職種・作業の種類にかかわらず、当面の間、日本語試験が免除されます。この取扱いは当初トラック分野に限られていましたが、令和8年10月9日の運用要領の改正で、タクシー・バス分野にも設けられました(タクシー・バス分野ではA2.2相当として扱われます)。技能試験は免除の対象外で、別途受験が必要です。(出典:自動車運送業分野の運用要領(令和8年10月9日一部改正)p.8〜9)
受入れ企業側の要件
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、他分野と同様の基準に加え、次を満たす必要があります。
- 自動車運送業分野特定技能協議会への加入
- 「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証を受けていること(トラック運送業に限り、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する安全性優良事業所(Gマーク)を有していることでも要件を満たします。いずれも取得に時間がかかるため、採用計画より前もって準備が必要です)
(出典:自動車運送業分野の運用方針(別紙10))
特定技能2号について
自動車運送業分野は、2026年9月時点で特定技能2号が設けられていません。1号(在留期間最長5年・家族帯同不可)での受入れが中心です。2号の新設時期や要件については、今後の制度改正を確認する必要があります。
CTCのサポート内容
株式会社CTCでは、義務的支援10項目を含む支援計画の実施を、登録支援機関として一貫してサポートしています。詳しくはサービス内容のページをご覧ください。
よくある質問
トラック・タクシー・バスの3区分すべての資格を持つ必要がありますか?
いいえ。区分ごとに独立した試験・要件があり、採用したい業務に対応する区分の資格のみが必要です。
来日してすぐ運転業務を任せられますか?
できません。特定活動の期間中に日本の運転免許を取得する必要があり、トラックで最長6か月、バス・タクシーで最長1年ほどの準備期間を見込む必要があります。
認証や認定を持っていなくても受入れはできますか?
できません。「働きやすい職場認証制度」の認証が必要です。トラック運送業に限っては、Gマーク(安全性優良事業所)でも要件を満たします。取得には時間がかかるため、早めの準備をおすすめします。
技能実習からの移行はできますか?
技能実習2号修了者は、トラック・タクシー・バスのいずれの分野でも日本語試験が免除されます(タクシー・バスは令和8年10月9日の改正から。A2.2相当として扱われます)。技能試験は別途必要です。
まとめ
自動車運送業分野は2024年に新設されたばかりの分野で、区分ごとの要件、認証取得、免許切替の準備期間など、他分野にはない独自のリードタイムが発生します。ドライバー不足に悩む運送・タクシー・バス事業者様は、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
- 自動車運送業分野の運用方針(別紙10、令和8年1月23日閣議決定)(出入国在留管理庁)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-自動車運送業分野の基準について-(令和8年10月9日一部改正)(出入国在留管理庁)
- 自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて(国土交通省)
- 特定技能(自動車運送業分野)Q&A(国土交通省)
- 日本語能力水準「B1相当以上」の確認開始時期について(出入国在留管理庁)
- 令和7年度自動車運送業分野特定技能評価試験実施状況報告書(国土交通省)
本記事は2026年10月14日時点で一次資料と照合しています。
関連する分野
- 特定技能「自動車整備」:自動車の点検・特定整備等が対象。運転ではなく整備を任せる場合はこちらの分野です
- 特定技能「鉄道」:軌道整備・車両整備・運輸係員等が対象。同じ輸送でも、鉄道側はこちらの分野になります
制度の詳細な論点整理は、専門家向けコラム「自動車運送業の日本語要件、参照枠とJLPT換算の混同に注意」もあわせてご覧ください。
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