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登録支援機関への委託要件、特定技能19分野を4つの型で横断整理【専門家向け】

はじめに

特定技能所属機関が、1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合、分野によっては、委託先の登録支援機関にも条件が課されている。この条件は、令和8年1月23日に閣議決定された分野別運用方針(別紙1〜19)の「特定技能所属機関に対して特に課す条件」に定められている。

条件の中身は分野ごとに異なり、「協議会の構成員であること」を求める分野、協議会や所管省庁への「協力」だけを求める分野、有資格者などの人員配置まで求める分野、委託先について定めのない分野がある。本稿では、19分野すべての条文を確認し、委託先に求められる条件を4つの型に整理する。(出典:分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定、別紙1〜19))

4つの型の一覧

型 委託先の登録支援機関に求められること 分野
型1 委託先の登録支援機関に求められること協議会の構成員であること+協議会・所管省庁への協力 分野造船・舶用工業、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、飲食料品製造業、外食業(8分野)
型2 委託先の登録支援機関に求められること型1の条件+有資格者などの人員配置 分野自動車整備(1分野)
型3 委託先の登録支援機関に求められること協議会・所管省庁への協力(協議会の構成員であることは求めない) 分野農業、漁業、林業、木材産業、資源循環(5分野)
型4 委託先の登録支援機関に求められること分野別運用方針に、委託先についての定めなし 分野介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設(5分野)

協議会の構成員であることを求めるのは、型1と型2をあわせた9分野である。人員配置まで求めるのは、19分野の中で自動車整備だけである。(出典:分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定、別紙1〜19))

型ごとの解説

型1:構成員+協力(8分野)

委託先の登録支援機関に、協議会の構成員であることと、協議会・所管省庁への協力を求める型である。

分野 別紙 条文(要旨)
造船・舶用工業 別紙別紙6 ⑥ 条文(要旨)②協議会の構成員、③協議会への協力、④国土交通省等の調査・指導への協力の条件を満たす登録支援機関に委託
航空 別紙別紙8 ⑤ 条文(要旨)②構成員、③協議会への協力、④国土交通省等への協力の条件を満たす登録支援機関に委託
宿泊 別紙別紙9 ⑤ 条文(要旨)②構成員、③協議会への協力、④国土交通省等への協力の条件を全て満たす登録支援機関に委託
自動車運送業 別紙別紙10 ⑧ 条文(要旨)協議会の構成員となっており、かつ、国土交通省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託
鉄道 別紙別紙11 ⑥ 条文(要旨)②構成員、③協議会で協議が調った措置、④協議会への協力、⑤国土交通省等への協力の条件を満たす登録支援機関に委託
物流倉庫 別紙別紙12 ⑨ 条文(要旨)支援計画の全部の実施を委託する場合に、協議会の構成員であることなどに該当する登録支援機関に委託
飲食料品製造業 別紙別紙15 ④ 条文(要旨)協議会の構成員となっており、かつ、農林水産省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託
外食業 別紙別紙16 ⑦ 条文(要旨)同上

鉄道は、協議会で協議が調った措置を講じることも条件に含む。物流倉庫は、条文上「支援計画の全部の実施を委託する場合」の条件として定められている。(出典:分野別運用方針 別紙6・8〜12・15・16)

型2:構成員+協力+人員配置(自動車整備)

自動車整備分野(別紙7 ⑤)は、型1と同じ条件(協議会の構成員、協議会・国土交通省等への協力)に加えて、委託先の登録支援機関に次のいずれかに該当する者を置くことを求めている。

  • 1級または2級の自動車整備士
  • 自動車整備士の養成施設において、5年以上の指導に係る実務の経験を有する者
  • 自動車車体整備士・電子制御装置整備士の技能検定に合格した者(車体整備の業務区分に限る)

3つ目は、令和9年4月1日から設けられる車体整備の業務区分に対応する選択肢で、令和8年1月23日の改定で加わった。別紙7の経過措置により、令和9年3月31日までは従前の例による。登録支援機関の側に、資格や実務経験を持つ人員の配置を求めるのは、19分野の中で自動車整備だけである。(出典:分野別運用方針 別紙7(令和8年1月23日閣議決定)、自動車整備分野の運用方針(令和6年3月29日一部改正版))

型3:協力のみ(5分野)

委託先の登録支援機関に、協議会や所管省庁への協力を求めるが、協議会の構成員であることまでは求めない型である。

分野 根拠 内容
農業 根拠別紙13 ⑥ 内容協議会に対し必要な協力を行う登録支援機関に委託
漁業 根拠別紙14 ⑤、運用要領、運用要領別冊 内容「漁業分野に固有の基準に適合している登録支援機関に限る」。運用要領本文はこの基準を「協議会及びその構成員に対し必要な協力を行うこと等」と説明し、別冊の告示で、協議会等に必要な協力を行う登録支援機関に委託することが定められている
林業 根拠別紙17 ⑤、運用要領別冊 内容協議会及び農林水産省に対し必要な協力を行う登録支援機関に委託
木材産業 根拠別紙18 ⑤、運用要領別冊 内容農林水産省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託
資源循環 根拠別紙19 ⑥ 内容支援計画の全部の実施を委託する場合に、所定の協力を行う登録支援機関に委託

林業と木材産業の協議会は、登録支援機関を入会の対象外としている。一方、両分野の運用要領別冊の告示は、協力の中身を「協議会が行う情報の提供、意見の聴取、調査その他の活動」への協力と、「農林水産省が行う調査、指導その他の活動」への協力として示している。求められているのは協議会への加入ではなく協力であり、協議会に入会できないことと矛盾しない。

漁業の運用要領別冊も、委託先の登録支援機関について、協議会の構成員になることを必ず求めるものではないとしている。「固有の基準」という言葉から特別な資格や人員配置を想像しやすいが、中身は協議会等への協力である。(出典:分野別運用方針 別紙13・14・17〜19、漁業分野の運用要領、運用要領別冊(漁業・林業・木材産業)、林野庁 林業・木材産業の各協議会のページ)

型4:委託先についての定めなし(5分野)

介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設の5分野は、分野別運用方針の「特定技能所属機関に対して特に課す条件」に、委託先の登録支援機関についての定めがない。分野共通の基準(登録支援機関の登録の基準や、支援計画の基準)は、これとは別に適用される。(出典:分野別運用方針 別紙1〜5)

実務上の示唆

登録支援機関として複数の分野の支援を受託する場合や、受入れ企業に委託先を案内する場合は、「協議会への加入が必要」と一律に扱うのではなく、分野ごとに次の順で確認する必要がある。

  1. その分野が4つの型のどれに当たるか(分野別運用方針の該当する別紙の「特定技能所属機関に対して特に課す条件」を確認する)
  2. 型1・型2の分野では、登録支援機関自身がその分野の協議会の構成員になっているか
  3. 型3の分野では、協議会が登録支援機関の入会を受け付けていない場合があるため、加入ではなく、協議会や所管省庁への協力に応じる体制があるか
  4. 型2(自動車整備)では、求められる資格や実務経験を持つ人員を置いているか
  5. 物流倉庫と資源循環では、支援計画の全部を委託するのか一部を委託するのか(条文は全部の委託の場合の条件として定めている)

分野別運用方針は令和8年1月23日に全19分野で閣議決定し直されており、改定前の資料や二次情報では、委託先の条件が古いまま紹介されていることがある。案内の前に、最新の別紙で条文を確認することが前提になる。

参考文献

あわせて、協議会・登録支援機関の要件の名称混同については特定技能の協議会・受入れ機関要件、名称混同と実務上の注意点、受入れ見込数・人数枠の誤解については特定技能の受入れ見込数・人数枠、実務で誤解されやすい4つの論点、制度改定の反映タイムラグについては特定技能、令和8年1月23日改定の反映タイムラグ問題、「分野」と「業務区分」の混同についてはリネンサプライは工業製品製造業の一区分ではない、自動車運送業分野の日本語要件については自動車運送業の日本語要件、参照枠とJLPT換算の混同に注意、支援計画の義務的支援10項目の基準適合ラインについては義務的支援10項目の基準適合ライン、「望ましい」と「義務」の見分け方、特定技能の届出(随時届出の種別・起算日・期限)の誤解については特定技能の届出、「期限内到達」と「自己都合退職=受入れ困難届出」の誤解を参照されたい。

制度の詳細な論点整理は、専門家向けコラム「木材産業分野の協議会加入、2段階手続きの実務フロー」もあわせてご覧ください。

本稿は2026年10月14日時点で一次資料と照合した実務メモです。最新の運用については各分野の一次情報をご確認ください。