特定技能「工業製品製造業」とは
工業製品製造業分野は、2019年の特定技能制度創設時に「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3分野として対象になり、令和4年(2022年)に統合されて「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」となった分野です。令和6年(2024年)の制度改正で名称が「工業製品製造業」に変更され、対象業種・業務区分が拡大しました。受入れ見込数は、令和6年度から令和10年度末までの5年間で19万9,500人と、特定技能19分野の中で最大です(特定技能2号には人数上限がありません)。(出典:出入国在留管理庁「令和6年3月29日の閣議決定等に関する情報」/工業製品製造業分野の運用方針(別紙4)/経済産業省「工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて」)
業務区分:17区分に拡大
工業製品製造業分野の業務区分は、改正前の10区分に、2026年1月の閣議決定・同年6月1日施行の告示により7区分が追加され、現在は17区分になっています。
| No. | 業務区分 | No. | 業務区分 |
|---|---|---|---|
| 1 | 機械金属加工 | 10 | 縫製 |
| 2 | 電気電子機器組立て | 11 | 電線・ケーブル製造 |
| 3 | 金属表面処理 | 12 | プレハブ住宅製品製造 |
| 4 | 紙器・段ボール箱製造 | 13 | 家具製造 |
| 5 | コンクリート製品製造 | 14 | 定形・不定形耐火物製造 |
| 6 | RPF製造 | 15 | 生コンクリート製造 |
| 7 | 陶磁器製品製造 | 16 | ゴム製品製造 |
| 8 | 印刷・製本 | 17 | かばん製造 |
| 9 | 紡織製品製造 |
(出典:経済産業省「工業製品製造業分野で外国人の受入れ可能な産業分類・業務区分」)
11〜17が2026年に新たに追加された区分です。あわせて、受入れ可能な事業所の産業分類も拡大されています。対象となる産業分類は、経済産業省の公表資料で最新の一覧をご確認ください。
対象となる業務内容
特定技能外国人が従事できるのは、各業務区分に定められた製造工程の作業です。あわせて、原材料や部品の調達・搬送、前後工程の作業、清掃といった関連業務にも、日本人従業員と同様の範囲で付随的に従事できます。(出典:工業製品製造業分野の運用方針(別紙4)/経済産業省「工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて」)
特定技能外国人を受け入れようとする事業所は、対象となる産業分類に該当している必要があります。具体的には、直近1年間で、対象産業について製造品出荷額等が発生していることが基準です。
必要な試験
工業製品製造業分野の特定技能1号を取得するには、次のいずれかを満たす必要があります。
- 製造分野特定技能1号評価試験、および日本語試験に合格すること
- 育成就労評価試験(専門級)に合格すること
- 業務区分に対応する技能実習2号を良好に修了すること(試験免除)
(出典:工業製品製造業分野の運用方針(別紙4)/経済産業省「工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて」)
工業製品製造技能人材機構(JAIM)の公表結果によると、製造分野特定技能1号評価試験の合格率は、2026年7月実施分でおおむね2割弱です。経済産業省の試験実施状況報告書では、令和6年度(2024年度)は約32%、令和7年度(2025年度)は約28%で、合格率は低下が続いています。受験者の多い機械金属加工・電気電子機器組立ての区分は、2026年7月実施分で1割台にとどまるなど、区分による差も大きくなっています。なお、令和7年度の2号評価試験の合格率は約55%です。(出典:JAIM「試験結果」/令和7年度製造分野特定技能評価試験実施状況報告書(経済産業省)/令和6年度同報告書)
2026年に新たに対象になった業務区分については、該当する技能実習2号を良好に修了した人材に限り、告示施行日(2026年6月1日)以降、在留諸申請が可能になっています。2026年7月から新区分でも評価試験が実施されています(JAIMの試験結果)。(出典:工業製品製造業分野の運用方針(別紙4)/経済産業省「工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて」)
特定技能2号への移行
工業製品製造業分野で特定技能2号の対象になるのは、17区分のうち機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分に限られます。それ以外の区分は、2026年9月時点で2号の対象になっていません。
2号への移行には、次が必要です。
- 試験:製造分野特定技能2号評価試験とビジネス・キャリア検定3級の両方に合格、または技能検定1級に合格
- 実務経験:日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場において、自らの判断で業務を遂行できる能力を要する業務に従事した実務経験(経済産業省の資料では3年以上)
また、令和9年4月1日以降、特定技能2号では「日本語教育の参照枠」のB1相当以上の日本語能力が求められます。(出典:工業製品製造業分野の運用方針(別紙4)/経済産業省「工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて」/工業製品製造業分野の運用要領)
2号は在留期間の上限がなく、家族の帯同も可能です。
受入れ企業側の要件
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、他分野と同様の基準に加え、次を満たす必要があります。
- 対象産業分類に該当する事業所であること(直近1年間の製造品出荷額等の実績が必要)
- JAIM(一般社団法人工業製品製造技能人材機構)への加入:業界のルール作りは「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」が担いますが、実際に受入れ事業所が加入するのはJAIMです。加入は事業所ごとに必要で、在留資格の申請前に済ませておく必要があります。
- 労働・社会保険関係法令の遵守、適正な雇用契約、支援計画の実施体制など、制度共通の基準
(出典:経済産業省「工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて」p.8〜9)
CTCのサポート内容
株式会社CTCでは、義務的支援10項目を含む支援計画の実施を、登録支援機関として一貫してサポートしています。詳しくはサービス内容のページをご覧ください。
よくある質問
自社の製造品が対象業種に含まれるか、どう確認すればよいですか?
対象となる産業分類・業務区分が2026年の改正で拡大されているため、以前は対象外だった業種でも該当する可能性があります。経済産業省の最新の公表資料でのご確認、または個別のご相談をおすすめします。
17区分すべてで特定技能2号への移行ができますか?
できません。2号の対象は機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分に限られます。
協議会とJAIMは同じものですか?
異なります。業界のルール作りを担う「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」と、実際に受入れ事業所が加入し、管理・支援・技能試験の運営を行う「JAIM」は別の組織です。受入れ事業所が加入するのはJAIMです。
技能実習からの移行はできますか?
対応する技能実習2号を良好に修了していれば、試験が免除され特定技能への移行が可能です。特に2026年に新しく対象になった業務区分は、当面この技能実習ルートが中心になります。
まとめ
工業製品製造業分野は、2026年の改正で業務区分・対象産業が大きく広がった、特定技能の中でも受入れ見込数が最大の分野です。自社の事業・製造品が対象に含まれるかどうかの確認が第一歩になります。製造現場の人材確保にお困りの企業様は、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
- 工業製品製造業分野の運用方針(別紙4、令和8年1月23日閣議決定)(出入国在留管理庁)
- 工業製品製造業分野の運用要領(出入国在留管理庁)
- 工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて(経済産業省、2026年6月)
- 工業製品製造業分野で外国人の受入れ可能な産業分類・業務区分(経済産業省)
- 試験結果(一般社団法人工業製品製造技能人材機構)
- 令和7年度製造分野特定技能評価試験実施状況報告書(経済産業省)
本記事は2026年10月14日時点で一次資料と照合しています。
関連する分野
- 特定技能「建設」:建設現場での施工が対象。工場ではなく現場での作業はこちらの分野になります
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制度の詳細な論点整理は、専門家向けコラム「特定技能の協議会・受入れ機関要件、名称混同と実務上の注意点」もあわせてご覧ください。
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