特定技能「建設」とは
建設業は、2019年の特定技能制度創設時から対象となっている分野のひとつです。深刻な人手不足と技能者の高齢化を背景に、特定技能外国人の受入れが進んでいます。
現在の業務区分
建設分野の業務区分は、かつて19に細分化されていましたが、令和4年8月30日の再編により、現在は土木・建築・ライフライン・設備の3区分に整理されています。取得した区分の範囲内で従事できる業務が決まるため、採用したい業務内容に応じた区分の確認が必要です。(出典:国土交通省「お知らせ【特定技能制度(建設分野)】」)
必要な試験
特定技能「建設」(1号)を取得するには、建設分野特定技能1号評価試験(土木・建築・ライフライン・設備の各区分)、または技能検定3級への合格が必要です。建設技能人材機構(JAC)の公表結果によると、1号評価試験の合格率は、2026年5〜8月の国内実施分でおおむね3〜4割です。令和7年度の試験実施状況報告書(令和8年10月7日)では、1号評価試験の合格率は39.2%とされています。(出典:建設技能人材機構「建設分野特定技能評価試験結果」/令和7年度建設分野特定技能評価試験実施状況報告書)
日本語試験は、国際交流基金日本語基礎テスト、またはJLPT N4以上が必要です。技能実習2号を良好に修了し、職種・作業が対応する人材は、これらの試験が免除されます。(出典:建設分野の運用方針(別紙5)/建設分野の運用要領別冊)
【重要】報酬は月給制が必須です
建設分野では、報酬額が同等の技能を持つ日本人と同等以上であることに加えて、安定的な賃金支払い(月給制)と、技能習熟等に応じた昇給が受入れの基準になっています。1か月単位で算定される額(基本給に加え、毎月固定的に支払われる手当・残業代を含む)での支給が前提です。(出典:建設分野の運用要領別冊 p.22〜24)
この要件を見落とすと、受入計画の認定申請で止まってしまうため、特に注意が必要です。
受入れに必要な建設特定技能受入計画の認定
建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、国土交通省による「建設特定技能受入計画」の認定を受ける必要があります。在留資格の申請前に必須の手続きで、告示に定める主な認定基準は次のとおりです。
- 建設業許可を受けていること、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録していること、建設技能人材機構(JAC)を構成する団体に所属するなどして行動規範を守ること、5年以内に監督処分を受けていないこと、国内人材確保の取組を行っていること
- 同等の技能を持つ日本人と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能の習熟に応じて昇給すること(契約に明記すること)
- 賃金などの重要事項を、外国人が十分に理解できる言語で、書面を交付して事前に説明すること
- 受入れの状況を国土交通大臣に報告すること
- 1号特定技能外国人をCCUSに登録すること
- 元請建設業者の指導に従うこと
- 1号特定技能外国人の数が、常勤職員(技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないこと
- 所定の講習・研修を受講すること
(出典:建設分野の運用要領別冊 p.16〜18(告示第3条))
このほか、受入れ後は、適正就労監理機関による巡回訪問などの指導・助言を受けることになります。JACへの加入には年会費(加入の区分によって異なります)がかかり、1号特定技能外国人を受け入れると、1人につき月額の受入負担金(12,500円)も発生します。(出典:建設技能人材機構「年会費と受入負担金」)
受入れ人数の上限
1号特定技能外国人の数は、受入企業の常勤職員(技能実習生・1号特定技能外国人を除く)の総数を超えることができません。たとえば常勤の日本人職員が10名であれば、受入れ可能な人数は最大10名です。(出典:建設分野の運用方針(別紙5)/建設分野の運用要領別冊)
元請企業の関与
建設分野は、現場に入る特定技能外国人について、元請建設業者が「一号特定技能外国人建設現場入場届出書」の確認を行う運用になっています。現場管理の責任を持つ元請企業の関与が他分野より強い点も、建設分野の特徴です。(出典:建設分野の運用方針(別紙5)/建設分野の運用要領別冊)
特定技能2号への移行
建設分野は特定技能2号の対象分野です。2号への移行には、次のいずれかが必要です。
- 試験ルート:建設分野特定技能2号評価試験の合格
- 技能検定ルート:技能検定1級または単一等級の合格
建設技能人材機構(JAC)の公表結果によると、2026年5〜8月に国内で実施された2号評価試験の合格率は、おおむね4〜5割で推移しています。令和7年度の試験実施状況報告書では、2号評価試験の合格率は41.2%とされています。(出典:建設技能人材機構「建設分野特定技能評価試験結果」/令和7年度建設分野特定技能評価試験実施状況報告書)
加えて、建設現場で複数の技能者を指導しながら工程を管理する「班長」としての実務経験が求められます。対応する能力評価基準がある場合はレベル3相当の就業日数、ない場合は職長・班長としての就業日数が合計3年(645日)以上必要です。実務経験は、CCUSの記録または分野参考様式第6-3号別紙の経歴証明書で証明します。
また、2号の日本語能力として、分野別運用方針では「日本語教育の参照枠」のB1相当以上が定められています。
2号に移行すると、1号で必要だった義務的支援や建設特定技能受入計画の認定は不要になります。ただし、2号でも建設業許可、CCUS登録、JACを構成する団体への所属は引き続き必要です。JACへの受入負担金は発生しません。企業側の受入れ負担は1号より軽くなります。(出典:建設分野の運用方針(別紙5)/建設分野の運用要領別冊)
CTCのサポート内容
株式会社CTCでは、義務的支援10項目を含む支援計画の実施や、CCUS登録・JAC加入といった建設分野特有の手続きを見据えたご相談を承っています。詳しくはサービス内容のページをご覧ください。
よくある質問
建設業許可を持っていなくても特定技能外国人を採用できますか?
できません。軽微な工事のみを請け負う事業者は本来許可不要ですが、特定技能外国人の採用時は建設業許可の取得が必須です。
日給制で雇用している職人をそのまま特定技能で採用できますか?
できません。建設分野は月給制での支給が受入れの要件です。日給制などで支払っている場合は、月給制(1か月単位で算定される額での支給)への切り替えが必要になります。
ある業務区分の資格を持っていれば、どんな建設業務でも任せられますか?
いいえ。取得した業務区分(土木・建築・ライフライン・設備)の範囲内での従事が前提です。
技能実習からの移行はできますか?
可能です。試験免除の条件は「必要な試験」で解説しています。
まとめ
建設分野は、月給制での報酬支払いや、CCUS・JAC・建設特定技能受入計画の認定など、他の分野にはない独自の受入れ要件が多い点が特徴です。手続きが多岐にわたるため、早めの準備と専門家への相談をおすすめします。建設現場での外国人材採用を検討されている企業様は、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
- 建設分野の運用方針(別紙5、令和8年1月23日閣議決定)(出入国在留管理庁)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-建設分野の基準について-(令和7年1月31日一部改正)(出入国在留管理庁)
- お知らせ【特定技能制度(建設分野)】(国土交通省)
- 年会費と受入負担金(一般社団法人建設技能人材機構)
- 令和7年度建設分野特定技能評価試験実施状況報告書(国土交通省)
本記事は2026年10月14日時点で一次資料と照合しています。
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制度の詳細な論点整理は、専門家向けコラム「特定技能の受入れ見込数・人数枠、実務で誤解されやすい4つの論点」もあわせてご覧ください。
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